契約書には相手の仕事観がすべて表れる

契約書を見ると、
相手がどんな仕事のスタンスを持っているのか、
こちらをどういう立場として見ているのかが、かなりはっきり分かる。

これは、フリーランスとして仕事をしてきて、何度も実感してきた。

条件交渉や報酬の話よりも前に、
契約書そのものに「仕事観」がにじみ出る

実際にあった契約書の内容

以前、実際に提示された契約書で、強く印象に残っているものがある。

そこに書かれていた条件は、以下のような内容だった。

・著作権はすべて相手側に帰属
・ポートフォリオとしての使用不可
・同業種の他会社での制作不可
・プロジェクト失敗時の責任の一部を制作者側にも問う
・相手都合でプロジェクトが途中終了した場合、報酬は支払われない
・試験期間あり、その間の制作単価はかなり低い(時給1,000円以下)

条件の問題ではなく「前提の問題」

正直に言えば、
「試験」や「テスト」という考え方自体は理解できる。

スキルや相性を見たい、
安心して任せられる相手か確認したい。
発注側としては自然な考えだと思う。

ただ、この契約書に強い違和感を覚えたのは、
制約の強さと単価のバランスが明らかに取れていなかったからだ。

制作者側の自由や将来性は大きく制限されている一方で、
リスクは一方的にこちらへ寄せられている。
それに対して、報酬は極端に低い。

この時点で分かるのは、
条件の良し悪し以前に、

「どういう前提で仕事をしているか」

という、相手の姿勢そのものだった。

契約書は、相手の本音が最も正直に出る場所

ぼくは、契約書は
こちらを守るための書類であると同時に、相手の本音が最も正直に出る場所
だと思っている。

だからといって、
「信頼関係があれば契約書はいらない」
「契約書は形式的なものだから流し読みでいい」
とは思っていない。

むしろ逆で、
契約書は必ず結ぶべきものだと考えている。

ただし、
内容は必ず確認するし、
必要であれば調整や相談をする。

修正できる契約書かどうかが重要

実際、多少こちらに不利な条項が含まれていても、
話し合いによって修正できる契約書であれば問題ない。

お互いの立場や事情をすり合わせ、
納得できる形に落とし込めるなら、
それは健全な業務委託関係だと思う。

一方で、

・ほぼすべてが相手都合
・こちらの権利や立場が一切考慮されていない
・修正しようとすると直す箇所が多すぎる

こういう契約書の場合、
条件交渉以前に考えるべきことがある。

そもそも、この相手と仕事をする価値があるのか

契約書の内容は、
そのまま相手の仕事観を映している。

そのスタンスのまま仕事をすれば、
制作中も、納品後も、
同じ構図が続く可能性が高い。

自分が契約書を出す側になったときの考え方

ちなみに、ぼくが契約書を出す側になる時は、
もちろん自分が守りたい条件は明確に入れる。

・著作権の扱い
・実績(ポートフォリオ)としての使用可否

これらは、仕事を継続していく上で譲れない部分だからだ。

ただし、それ以外については、
基本的に「双方同じ条件」にする。

例えば、
こちらから1ヶ月前に解約できるなら、
相手側からも同じ条件で解約できるようにする。

どちらか一方だけが有利になる契約にはしない。

契約書は「良いパートナー関係」を作るためのもの

ぼくは、契約書は
どちらかが得をするためのものではなく、

良いパートナーとして仕事を進めるための前提条件

だと思っている。

だからこそ、
話がうまく進んでいたとしても、
契約書の内容に強い違和感があるなら、
その違和感は無視しない方がいい。

契約書を丁寧に読めば、

・仕事が健全に進みそうか
・対等な関係でいられそうか
・後からトラブルになりそうか

こうしたことは、だいたい事前に分かる。

契約書は単なる形式的な書類ではない。
そこには、相手の価値観や仕事への向き合い方が、
はっきりと表れている。

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