動画を外注し続けるコストと、内製化にかかるコストを比べてみた
「外注を続けるのはコストがかかる。でも内製化する余裕もない。」
動画制作を担当している方から、こういった相談をよくいただきます。
結論からお伝えします。映像制作の外注と内製、どちらが安いかは「何本・どんな用途・どの頻度で使うか」によって変わります。どちらが正解かは一概には言えません。
ただ、多くの会社が陥っているのは「比較しないまま外注し続ける」という状態です。実はこれが、一番コストを膨らませるパターンです。
この記事では、外注と内製のコストを具体的な数字で整理しながら、自社にどちらが合っているかを判断するための視点をお伝えします。
「内製化すれば動画コストがゼロになる」は本当か
動画の内製化を検討する会社の多くは、こんなイメージを持っています。
「一度スキルを身につければ、あとはほぼタダで動画が作れる。」
気持ちはよくわかります。外注するたびに数十万円が出ていくのを見ていれば、そう思うのは自然なことです。
しかし「内製化すればコストがゼロになる」は、残念ながら正確ではありません。
内製化にも、請求書には出てこない見えにくいコストが存在します。それを把握した上で比較しなければ、正しい判断はできません。
外注と内製、実際のコストを数字で比べてみる
ここでは、SNS用の短尺動画(Instagramリール・YouTubeショートなど1分以内)を週3本制作するケースを例に整理してみます。あくまで目安ですが、判断の出発点になるはずです。
| 項目 | 外注し続けた場合 | 内製化した場合(初年度) |
|---|---|---|
| 初期費用 | なし | 研修費:20〜40万円 機材・ソフト:20〜50万円 |
| 月あたりのコスト | 60,000〜180,000円 (週3本×4週) | ソフト費用のみ (数千円程度) |
| 年間合計 | 約72〜216万円 | 初年度:40〜90万円 2年目以降:数万円程度 |
| 社内に残るもの | なし | スキル・ノウハウ |
数字だけ見れば、内製化は用途と本数によっては初年度から外注より安くなる可能性があります。
ただし、この比較には含まれていない重要なコストがあります。それが「担当者の工数(人件費)」です。
1本の動画を作るのにかかる時間は、慣れるまで10時間以上かかることもあります。その時間を他の業務に充てられたはずだという「機会損失」も、コストとして存在しています。
比較できない本当の理由——コストの「見え方」が違う
外注費は請求書に数字が出るので、誰の目にも見えやすいです。
一方、内製のコストは「人件費・学習コスト・機材費・ツール費・機会損失」に分散していて、請求書には出てきません。
見えやすいコストは削ろうとするが、見えにくいコストは放置される。
これは担当者の問題ではなく、コストの構造上の問題です。比較の軸を正しく揃えなければ、どちらが得かの判断はできません。
動画内製化でよくある失敗——ツール選びとAI活用のミス

コスト比較をしないまま内製化に踏み切ると、特定の失敗パターンにはまることがあります。
その中でも現場でよく見るのが、「とりあえずプロと同じツールを使おう」という発想から始まる失敗です。
内製化の相談を受けると、すでにプロ向けの編集ソフトを契約済みというケースが少なくありません。話を聞いてみると、作りたいのはSNS用の短い動画や社内向けの説明動画。そのレベルであれば、スマホの編集アプリや無料ツールで十分対応できます。
プロ用ソフトは機能が多い分、習得に時間がかかります。学習コストが想定以上に膨らみ、担当者のモチベーションが落ち、結局1本も完成しないまま終わる——そういう会社を何社も見てきました。
これは私自身の経験でもあります。以前、映像制作を始めたばかりの頃、必要以上に高機能なソフトを使おうとして学習に時間を取られすぎた。今思えば、用途に合ったシンプルなツールから入るべきでした。
さらに近年は、AIツールの使い方でも同じ失敗が起きています。
「AIを使えば簡単に動画が作れる」と聞いて導入したものの、どの工程にAIを使うべきか・どこは人が編集したほうが早いかを整理できていないと、かえって時間がかかることがあります。自分でやったほうが早い部分にAIを当てようとしたり、逆にAIに任せられる部分を手作業でやり続けたり。この判断がずれると、内製化しているのに外注より時間もコストもかかるという状況になりかねません。
「内製化する」という判断自体は正しい。ただ、ツールの選択とAI活用の役割分担を整理しないまま始めると、時間とお金だけが出ていく結果になります。
「なんとなく外注し続ける」を放置するとどうなるか
判断基準を持たないまま外注を続けると、どうなるでしょうか。
費用は毎年積み上がります。しかし社内にはノウハウが残りません。動画の良し悪しを判断する基準もないので、外注先に言われるままに発注し続けることになります。
やめたくてもやめられない、外注依存の状態になってしまいます。
これは動画に限った話ではありません。マーケティング全体が外部依存になると、自社で判断できることが何もなくなっていきます。費用をかけても成果が見えにくくなり、「動画は効果がない」という誤った結論を出してしまうことにもつながります。
外注と内製をうまく使い分けている会社がやっていること
一方で、コストを正しくコントロールしながら成果を出している会社には、共通した考え方があります。
以前、年間で複数本の動画を外注していた会社から相談を受けたことがあります。話を聞いてみると、外注している動画の中に「採用向けの会社紹介動画」と「SNS用の短い告知動画」が混在していました。
そこで私がアドバイスしたのは、用途によって外注と内製を分けることでした。クオリティが求められる採用動画や会社紹介動画はそのまま外注する。一方、頻度が高くスピードが重要なSNS動画は、スマホアプリを使って内製化する。この整理をするだけで、外注費を抑えながら動画の本数を増やすことができました。
ツールの選び方も同様です。SNS用の短い動画であればスマホの編集アプリで十分。最初から高機能なソフトを使う必要はありません。用途に合ったシンプルなツールから始めることで、学習コストを抑えながら動画制作を習慣化できます。
なぜ「今」判断基準を持つ必要があるのか

動画制作のハードルは年々下がっています。AIツールの進化により、以前は専門家でなければできなかった作業が、今は一般の担当者でも対応できるようになってきました。
つまり、内製化の選択肢が現実的になっているのが「今」です。
この流れに乗れるかどうかは、判断基準を持っているかどうかにかかっています。何となく外注を続けているだけでは、この変化の恩恵を受けることはできません。逆に言えば、今のタイミングで正しい判断基準を持てた会社が、マーケティングコストを大きく下げられる可能性があります。
まず「自社の動画の使い方」を整理することから始める
外注か内製かを判断する前に、まず以下の5点を整理してみてください。
✓ 年間何本の動画が必要か
✓ どんな用途で使うか(採用・広告・SNS・社内研修など)
✓ どのくらいのクオリティが必要か
✓ 担当できる人材が社内にいるか
✓ 用途に合ったツールのレベルはどのくらいか
この5点が明確になれば、外注と内製のどちらが合っているか、あるいは併用すべきかが自然と見えてきます。
コスト削減は「外注をやめること」ではなく、「正しい判断基準を持つこと」から始まります。
まとめ
外注と内製のどちらが安いかは、用途と本数によって変わります。「外注費は高い」「内製化すればタダ」という思い込みで判断するのではなく、担当者の工数も含めた総合的なコストで比較することが大切です。
また、内製化を始める際はツール選びとAI活用の役割分担を整理しておくことが重要です。過剰スペックのツールや使い方の合わないAIを導入してしまうと、時間とコストだけがかかって動画が完成しない、という失敗につながります。
うまくいっている会社に共通しているのは、「用途で外注と内製を使い分ける」という明確な判断基準を持っていることです。その基準を持つことが、映像制作のコストを正しくコントロールする第一歩になります。
外注か内製か、自社に合った選択がわからない場合はお気軽にご相談ください。
Eizou Worldでは、映像制作の受注だけでなく、「どう動画を活用するか」という段階からご相談に対応しています。まずはお気軽にお問い合わせください。
社内での動画制作スキルを身につけたい方はこちら → 企業向け動画活用研修